映画「カメラを止めるな」はオススメ

「カメラを止めるな」を見ました。

まず、盗作の疑いに触れたいのですが二言だけ。

  1. 芝居という原作があったとしても、それを映画表現に進化させ、芝居よりもわかりやすくし、作品をたくさんの人が見られる機会を作っただけでも称賛すべきことです。それが故に原作者との調整を怠ったのは非常にもったいない。穏便な解決を望みます。
  2. この監督、たぶん職人気質なんでしょうね。それも創作全般というよりは映像の。だから今後も堂々と原作がある作品を撮ってほしいです。どうかそういうふうにこの監督を活かしてくれる人と巡り会いますように。

で、作品紹介です。

古びた廃工場。それはいわくつきの撮影場所。そこでゾンビ映画を撮影中に、本物のゾンビが現れて……というと正統派ホラー映画を想像しますが、あることがきっかけで怒涛のコメディへと展開していきます。怖いのが嫌いな人もどうか席を立たないでほしいです。

映画の中で、映画の撮影をしてるシーン────
劇中劇というのは、作品の中にさらにフィクションが登場することです。古くから使われている手法で、特にお芝居ではたくさんあります。有名所ではシェークスピアの「真夏の夜の夢」がそうですが、正直ちゃんと見たことがある人はそんなにいないと思うので、わかりやすいところでいうと、クレヨンしんちゃんの「アクション仮面」です(ちなみにアクション仮面はスピンオフまで作られました)。

「中の劇」にはしばしは主人公の気持ちを代弁する内容が暗喩されています。なので劇中劇は、視聴者が主人公により深く共感するための舞台装置といえます。クレヨンしんちゃんのアクション仮面は、「子供の頃憧れたTVヒーロー」という誰しもが経験のあるキャラクターを通してしんちゃんの心情をより捉えやすくしています。

「カメラを止めるな」は劇中劇の妙を上手に使っていて、主人公である「映画監督」の苦労と情熱にどんどん自分が同化してしまいます。そしてそれが心地よい笑いと感動に変わります。

スポンサーリンク

もう一つの仕掛けとして、タイムリミットがある中で物語が進行します。これも手法としてはよくあるものです。とってもわかりやすいのはウルトラマンの3分間しか活動できないやつですね。細かいことを忘れさせ、物語の中に引きずり込まれます。
「え?あの人は間に合うの?」「描写されていないあの人は、いま何してるの?」と、すごく気になりながら目の前の展開にも釘付けになります。

「カメラを止めるな」は、視聴者の感覚にある、
“劇中劇”の「中の劇」と劇を行ったり来たりする感覚と、
“タイムリミット”の同時進行の描写されていない出来事を想像してしまう感覚、
をうまくミックスさせているんですね。
そしてさらにエンドロールでは、第四の壁を破るような演出で終わります。これが最高に気持ち良い後味を残し、自然とパートナーと映画の感想を語り合うことになります。

「カメラを止めるな」はフォーラム那須塩原で上映中です。

それでは良い映画ライフを。

ブログのタグ