肯定から進化は生まれると思う(温故知新)

「現状否定から始める」という言葉が好きではありません。否定は簡単だから。
しばしば「よくある話」「使い古された表現」という言葉は、つまらない作品という意味を込めた感想で使われます。

でもちょっと待ってください。
よくある話にも使い古された表現にも、「最初」があります。
そしてその「最初」があまりにも後世に大きな影響を与えた結果、みんなが使うことでよくある話になり、使い古されていきます。つまり、よくある話のスタートには「ものすごく良い」があるってことです。

現在のクリエイターは、昔の人と比べると損です。
そんなに突拍子もないことはポンポン生まれません。自分の思いつきなんて、過去に誰かがやってます。これはビジネスでもそうですが、わかりやすく音楽で見てみましょう。

美空ひばり「川の流れのように」の「あ~あー」、クリスタルキング「大都会」の「あ~あー」、レミオロメン「粉雪」の「こなー」はすべて同じ音階を飛び越えます。ドを基準にするとドからラ。「ドとラ」の関係は気持ちいいんですね。もうこれは使い古しとかじゃなくて法則みたいなものなので、あとはどのように自分の楽曲に活用するかというところに創作性があります。
JAZZにはスタンダードという考え方があり、ずっと昔の楽曲を何人もの人がカバーしています。楽しみ方はそれぞれですが、そのミュージシャンがどれだけ自分のものにしているかという聴き方も、おもしろいものです。
個人的にはJUJUがカバーしたものをよく聴きます(JAZZスタンダードのカバーで3枚アルバムを出しています)。私は過去のJAZZミュージシャンのことは知りません。
傑作が、それを知らない世代に受け継がれていくのって素晴らしいことだなと思います。


「元ネタを多くの人に知ってほしい気持ち」あるいは「みんなが元ネタを知っている前提」がオマージュ・インスパイアで、「元ネタを知られたら困る」のをパクリといいます。
これもわかりやすくお笑い芸人さんの「モノマネ」を想像しましょう。美川憲一を知らないとコロッケの「モノマネ」は成立しません。コロッケさんの芸は「パクリ」ではありませんね。

ちょっと脱線しますが、
「メール」が「電話」に取って代わったかのような時代に私は20代前半を過ごしました。でもこれって「リプレイス」に近かった気がします。電話の「進化」ではなく「代替」。
なんとなく感覚的にですが電話の進化はLINEやFacebook Messengerのようなチャットツールにある気がしませんか?メールは使えなくてもLINEを使う年配の方はよく見かけます。
脱線終わり。

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知られたら困るかどうかは、独創性があるかどうかの話ではなく誠実さがあるかどうかの話です。
せっかく独創性があるのに、「知られたら困る」と怯えるのは愚かなことです。みんなが元ネタを知っている前提で一生懸命頑張るほうがより良いものになります。積み重ねてきた力があるからその次の瞬間が爆発します。

それでは良い「モノマネ」ライフを。

P.S.
キレイにまとまっていて、その筋の人でない人にウケが良いものを、「普通」「見たことがある」と批判するのは、ただの嫉妬です。お気になさらず。キレイにまとめるには相当の努力とセンスが必要です。

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