先日、那須塩原市教育委員会さんからの依頼を受けて、「STEAM教育ものづくり体験教室」というのをやらせてもらいました。市内の小学生対象に、みるると西那須野公民館で行い、総勢60名ほどご参加いただきました。ありがとうございます。
内容は下の写真のように、アーテックのブロックを使ってアーチェリーづくりを行いました。
作り方マニュアルはあるんですが、取り付け角度を考えたり、輪ゴムのねじれを利用したりと、マニュアルに従って作るだけではなく、考えて組み付けないとうまく矢(スポンジとストローで作る)がよく飛ばないようになっています。


体験会の実施にあたり、教育委員会さんから、いくつか条件を頂いたのですが、中でも印象的だったのが「パソコンやタブレットを使わないでください」というオーダーです。

うん、それ。

担当の方は、たぶん理由を完全には言語化できずに、でもご自身の感覚を信じてその条件を指定してきたように思うのですが正鵠を射ていると思います。なので私もここで改めて言語化に挑戦します。

STEAMの中のE。Engineeringは、私の解釈では、「目の前にあるものを分解して(あるいはよく観察して)、自分で再構築してみる行為である」と考えています。

もちろん、アプリ(ソフト)を作る上でもすごく重要な過程ですが、別にプログラミングじゃなくても、というか、初めて見る機械(あるいは体験)はみんなそうです。まず好奇心が働き、「へぇこれどうなってるの?」です。基本的には誰もが抱く感想。

Engineeringは日本語にすると工学です。
工学に関心が強いことは主体性につながるんですよ。「へぇこれどうなってるの?」と思ったその瞬間に、目の前のそれを「自分ごと化」してるんだもん。
私の大好きなロボット漫画「ブレイクエイジ」にこんなセリフが出てきます。「画期的な機構をしているはずだよ、バラしてみたいねぇ」という、ホントそれ。

さらには、単純機械といわれる、テコの原理や滑車とかといった物理のしくみは、大人が見たら当たり前でも、子どもの頭の中でイノベーションが起きやすいんですね。

そして、それが自分ごと化して、自分の中で消化が完了すると次に子どもの脳内で起きるのが、「工学が社会にもたらす意味を考えること」なんです。簡単に言うと「これはなんの役に立つんだ?」です。

この「役に立つ」をもう少し厳密な言葉に置き換えると「文脈に沿った課題解決」だと思うんですが、これを強くするには、STEAMのA、つまりArts、教養あるいはそのまま外来語でリベラルアーツの力を育むことが必要です。普段から、「当たり前」に疑問を持ったり、理由を考えたり、あるいは意味を持たせたりということです。具体的にいうと、「黄色は夜でもよく見える」「トラックは動き出すのが遅い」とか、ありふれたことをきちんと認知して知識としてストックしておくことが、Arts(教養)にあたります。

うちの教室は、「ITを使いこなすこと」に重きをおいていますが、スマホが使える、検索できる、AIが使えるってのは、まだまだ「知識を消費する」行為の範疇を出ません。これはITを使いこなしているとは言えないと私は考えています。
「知識を使ってなにかする」には、やっぱり手を動かして、自分ごと化した経験を積むしかないように思います。そして経験は、「体験の時間の長さ」では得られません。いつもなにか考えていて、ストックしてある知識を、実際に出してみる、それがいま合ってたのか、それとも失敗するのか、その結果を得てさらに検証することが大事です。

なので、私の結論は、「工学は子どもを主体的にする」です。だから積極的にやるべき。大人はやる機会を提供する。

最後にまた体験教室のときの話に戻ります。
実際に教室をやっているときに、保護者さんの動き(子どもに対する働きかけ、サポート)を見ていて思ったことがあるので備忘録です。
「子どもの教育において、親が事前に期待している答えがあると、子どもを承認しにくい」

簡単に言うと、頭空っぽにして、子どもの体験を認め、褒めましょう。
私は「褒めろ褒めろ教育」を全肯定する気はないのですが、子どもが初めてのことに直面するときは、ソレが大人にとってどんなに簡単なことでも、手放しに褒めていいのかな、と。

それでは楽しいSTEAM教育を。


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