映画「マスカレード・ホテル」ミステリのカタルシス王道

マスカレード・ホテルを見てきました。

ホテルで予告された殺人をめぐって、刑事とホテルマンが互いの信念をぶつけあいながら、事件を未然に防ぐべく奔走します。犯人もターゲットも全く手探りのまま、物語は進んでいきます。
一言で言えばタイトルに書いたとおり、カタルシスとして王道です。犯人はこいつかな?彼はいったい何の目的で?狙われているのは実は彼女なのか?とハラハラ・ドキドキして、最後にスッキリしたい人におすすめです。ハリウッドとは違う爽快感です。
主演は木村拓哉と長澤まさみということでキャストバッチリです。木村くんのお芝居はこうゆうのによくマッチします。
というか、男性がこれを大きな声で言うのは、はばかられる雰囲気が世間にありますが、男性はけっこう好きだと思うんですよ、彼が芝居で見せるキザな動き。「というか真似したい(けどできない)」って人は多そうな気がしています。

それにしてもよくマッチするなーと思ったら、監督は鈴木雅之さんじゃないですか。
ちがうちがう、そうじゃないです。
TVドラマをたくさんやられている監督・演出家の鈴木雅之さんです。私は年齢的に、王様のレストラン、ロンバケ、古畑任三郎、HERO、と来ちゃうのでドンズバなわけです。

で、原作は東野圭吾さんです。
冒頭の暗号とかは、一瞬でわかっちゃって、「フフン安直だぜ」と優越感に浸りながら見ていると、やっぱりクライマックスは予想の裏をかかれました。よく出来てます。
展開の強弱、伏線、アクション、人情、丁寧に計算しつくされて、王道的に盛り込まれています。最初から最後まで気が抜けないです。さすがです。

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で、
実はもう一つ、ちょっと違うところに注目して見てました。
やっぱりTVで活躍していた監督さんということで、もちろん映画監督でもあるんですが、巨大スクリーンという画面的にはどうかなーと思ってたんですが、杞憂に終わりました。
特にすげーな、と思ったのはVFXとドローン撮影です。ストーリーに没入してたら、もうまったくわからないですね。ちょっと前までは、CGやドローン撮影が入るとその違和感が目についてしまって、一瞬、現実に引き戻される瞬間があったのですが、この映画はないです。それで映画のスクリーンをきちんと使い切ってました。
ホテルという、室内中心で展開される物語はカメラの撮影位置を効果的に使うのは難しいんですが、エレベーター(狭い空間)の使い方といい、バックヤードとロビー、ホテルの外観、空中庭園、夜と朝、そしてそれらに組み合わさるドローンとCG、素晴らしかったです。原作の繊細なエッセンスを映像化しています。
特に、“劇中の時間感覚の嘘” といえば良いのでしょうか、時間をわざとかける(トゥウェンティフォーの逆といえばいいでしょうか?)、場面転換とカメラワークで、実際に起きている時間を引き伸ばして見せることで緊張感やドキドキ感を作るのですが、それが本当に上手でした。

それと、全然本筋と関係ないところで感心したこと。
エンドロールを見ていて、アッと思ってしまったのですが、木村くんのウィッグを作ると、そのスタイリストさんはエンドロールに個別に名前が乗るんだなぁという。

それでは、楽しい映画ライフを。

P.S.
画像はロケ地になったロイヤルパークホテルで限定販売されてます。マスカレード(仮面)の乗ったケーキです。

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