機械のことを考えてあげる趣味

この記事は、ある程度、プログラミングの知識がないと全く面白くない可能性を含んでいます。いわばいま話題の映画でもてはやされているPG-12的な。ぷろぐらむ12的な?

西那須野幼稚園で「コンピュータ遊び」につかっているプログラミング言語はviscuitといいます。

この言語のテーマ(コンセプト)の一つに、「人間がコンピュータの都合を考えてやる必要をなくす」というのがあります。

どういうことかというと、例えば、あるキャラクターを左に動かすアニメーションを作りたいと思った時、それがビデオカメラと人形を使ったアニメーション撮影であれば、人形を手で持つとか、棒や紐をつけるとかして好きな位置まで移動させればよいです。ところがコンピュータでアニメを作る場合は、キャラクターのオブジェクト(部品)を指定し、それの現在の位置を特定し、何ピクセル(画面上の長さの単位)左に動かすか、という指示を与えなければなりません。viscuitでは、それを「タップしてドラッグ」という、非常にビデオカメラ的な動作まで落とし込んでいるため、子どもたちは直感的にアニメーション制作(プログラミング)が行えます。

ただ、あくまで以下は趣味的発想の話ですよ。

なんかこの「コンピュータの内部構造を理解し、間違いなく動かせるロジックを考える行為」、つまり「コンピュータのご機嫌をうかがうという行為」、嫌いじゃないんです。なんでしょう。その無駄な工程に快感を覚えるのは職人に多いと思います。

それを踏まえてこちらの記事をご覧ください。特に、「おわりに」のあとの注釈の1と2が的確すぎてニヤニヤとした笑いが止まりません。

「この位置にprintfが無いとなぜか動かないんだ。」

スポンサーリンク

いや、わかんない人には、そもそも注釈の文章が日本語に見えなかったかもしれません。昔の言語はコンピュータの都合を考えないでプログラミングすると、わけのわからない動きをすることがあるという話です(しかも悪いことに、「結果的に正しく動いちゃう」こともあって、それが後々悪さをするという話です)。

やっぱり例えを変えましょう。

スポーツカーのメーカーとして、時々対比されるスバルとマツダ。どっちもよいスポーツカーを出しています。

スバルのインプレッサ。こいつは忠犬です。「こっちへいけ」と命令すると忠実にその役目を果たそうとします。がんばります。限界が高く、かつ破綻するところもわかりやすいです。普段は寡黙に命令に従いますが「ボス、もうだめです」と言ってくることがあります。これが限界付近。

よくできてます。運転してて安心でしかも速いです。

マツダのロードスター。こいつは愛馬です。実力は高いですが繊細でしかもクールです。「お前、こっちに行きたいのか、こうやって走りたいんだろう?」と語りかけながら車の行きたい方向へ操作してやると、見た目からは想像できない極上のパフォーマンスで曲がっていきます。逆にこの馬の気に入らない操作(ハンドル・アクセル等)をすると、買い物用の軽自動車でも言うことを聞くような場面でへそを曲げ、ぎくしゃく動作します。

この通り、マツダのスポーツカーは、車=機械の構造をよく理解し、破綻なく走れるロジックを感覚で捉えながら運転しないといけません。

まあスバル車は雑に運転してもいいということではありません(そもそも限界を理解してないとかえって危ない車ですし)が、速く走らせるためのアプローチが全然違うということです。

スバル=自分の構想を的確に伝え、相手に最大限のパフォーマンスを出させる

マツダ=相手の性格・志向をよく理解し、一緒に協力してもらう

で、私の場合は乗車定員以前に、趣味的に言うとロードスターで、荷物を揺らしたくないときと家族で出かけるときはエクシーガ(スバル車)になるということです。

○まとめ

「機械のことを考えてあげる趣味」ですが、

機械といっても、何か未知の世界から来た得体のしれないブラックボックスではなく、「誰か」がつくったものです。人が作ったものだから、その人の考え方が反映されています。高度な機械になればなるほど、「その人の信念」といってもいい。

で、それとの対話を楽しむというのは、いわば文学書を読む行為に似ています。

ね? そう思いません?

ブログのタグ