間違い発見(2023/04/07)
産業構造転換枠の条件が結構厳しいです。コロナ影響は除いて市場縮小分野ということになります。
総じて言うと、使いにくくなったと感じる人のほうが多いハズ。
当てはまる分野の新事業を始める人にとっては朗報といった内容です。
【ご注意】この記事の想定読者としては、認定支援機関さんとか金融機関さん、商工団体の職員さん(支援する側)です。今回はじめて事業再構築補助金を使ってみようと考えている事業者さん向けには書いていません。
- 売上減少要件がなくなる
- 通常枠の廃止
- グリーン成長枠の要件拡充
- 補助率の引き下げ(全体的に1/2)
- 製造業の国内回帰を推進する「サプライチェーン強靭化枠」の新設
一個一個見ていきます。
1.売上減少要件がなくなる
これは、ほぼそのままです。2019年売上と最近の売上を比較していたアレがなくなります。あースッキリした! 第9回の申請書(wordファイル)を開いたことがある人ならこの気持わかるはず。あの前段の20ページ近くが消え失せるということですね。
ただ、「物価高騰対策・回復再生応援枠」(旧「回復・再生応援枠」です)には売上減少要件が残ります。2022年1月以降の売上減少を判断材料とします。これまでは30%減少だったのが10%になりましたし、賃上げも求められません。まあこの枠はちょっと特殊なので当てはまってもラッキーと言える状況かどうか微妙なことが多いので、特に「金融機関さんの熱意のある担当者が事業者とともに一発逆転を狙うという体制」が望まれますね。
その代わりと言ってはなんですが、売上減少が深刻な事業者が該当するであろう「産業構造転換枠」が新設されました。
「過去10年間、もしくは今後10年間で市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しており別業種・業態に転換する場合」または「地域における基幹大企業が撤退することにより、市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域に属しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めること」となっています。
前者の条件で言うと過去10年間というとまさにコロナの3年間が含まれますので、飲食、宿泊、観光関係はこの枠に該当すると考えられます(今後、この業種一覧が発表される予定)。現時点では、出版業(電子書籍を除く)と、粘土瓦製造業の2業種になっています。業種ごとの指定は業界団体の申請によるものとなっており、個別の事業者がこれを申請するには、申請時に別の書類を添付することということになっていますが、その際に「過去10年」の定義は2019年以前(つまりコロナの影響は含んではいけない)になっていました。(2023/4/7訂正)。
また、後者の基幹大企業がある地域は、3地域で呉市(日本製鉄)、有田市(ENEOS)、名寄市(王子マテリア)となっています。
そのかわりこれに該当すると、業種転換も同時に条件となり、かつ廃業を伴う場合は上乗せですので、廃業を考えるくらいなら思い切ってなにかしてみよう、というシチュエーションでしょう。「既存事業のシナジー」というところが描けずに不採択になっていた事業者さんにも採択の可能性が出てきます。
コロナ関係なくだとガソリンスタンドとか印刷・出版とかが当てはまりそうですね。前述の通り出版は当てはまります。ガソリンスタンドも当てはまりそうですが業界団体からの申請はないようです。元請けが強いからとかかねぇ(2023/4/7修正)。
2.通常枠の廃止
私自身、二度見ならぬ三度見しました。「通常」の文字がない。
新しい通常枠に相当するのが、「成長枠」(新設)です。事業再構築補助金が指定する成長分野(日本産業分類の小分類)に入っていれば対象になります。一覧はこちら。思っていたよりは広いです。
3.グリーン成長枠
一応、経産省は「使い勝手を向上」と書いてますけど、本当? 『グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるもの』というくくりになりましたので、確かに以前みたいに「排出CO2が云々」ではなくなりました。あれだと大きい機械を使っている製造業以外は無理ゲーになっていたので、そういう意味では一部サービス業や食関係も入ってこられます。上のリンク(ミラサポによる解説)を見てもらうとわかりますが、下の方にこじつk,発想力と表現力が発揮できる分野はありますが、まあたいていは無駄な努力になるでしょう。
4.補助率の引き下げ
成長枠・グリーン成長枠において、「中小企業者等」で1/2です。ただし賃上げをすごいやる(+45円かつ給与支給総額を年平均6%増加かつ従業員数1.5%増)と2/3になります。これ微妙です。というかちょっと厳しい。だから成長枠の分野が甘いのかなぁという感じです。
これに当てはまるのは、現在10人くらいの会社で新事業により1名ないしは2名新規雇用が生まれる計画ならぴったんこ(自然と条件クリアになる)でしょう。それが補助期間内に達成できることが必須です。それと、その後、3~5年後に数値が落ちたら一部返還しろとも書いてあります(怖)。
5.製造業の国内回帰を推進する「サプライチェーン強靭化枠」の新設
これは、今回の大幅改定で、最も力が入っているように思えます。MAX5億円です。
公募要領がこの枠だけ別ですしね。ものづくり大国再びということでしょう。私は、この国は輸出国じゃなきゃだめだと思うのですよ。「再び円高を」とか考えちゃっている老害を一掃してほしいです。なので個人的にはこれが一押しです。いま海外で生産しているものを(再び)国内に持ってくる取り組みということで、産業分類の数で言えば少ないですが、その業界にいる人からすると夢が膨らむんじゃないでしょうか。ただ(ここからは妄想ですよ)、個人的には要件を広げて「輸出強靭化枠」にしてもらって、例えばコンテンツ産業なんかも対象にしてもらえれば嬉しいかなぁ。
以上ですが、最後に一つ。補助金は手段です。やりたいことが先です。
まず夢を語ろうよ。